法人設立と遺言・相続について、ご質問にお答えします


<会社設立についての QA>


Q 独立起業を考えています。株式会社などの法人にしたほうが良いですか

A 「個人事業主」と「法人」形態のメリットとデメリットを以下に具体的にまとめました。参考になさってください

  

 実務的な違いはがあるのはもとよりですが、「法人」はその存在を広く社会に知らしめるものなので、「社会的に貢献」することを宣言し、その責任を自らに課す、という点でも違いがあるといえるでしょう。

  法人化のメリット

  社会的信用が大幅に上がる

  金融機関の融資を受けやすい

  有限責任なので、個人の財産を守ることができる

  人材を集めやすい

  社会保険に加入することができる

  消費税が最大2事業年度免税になる(資本金1千万円未満の場合)

  給与所得を控除することができる

  業態に応じて決算期を選ぶことができる

  助成金、補助金の活用がしやすい

  経営者の退職金・生命保険金を必要経費にすることができる

  株式移転によって相続税の対策ができる

  事業の継続性が高い

  経理を明確化し、公告などで広く信用を得ることができる

                         など

  法人化のデメリット

  設立の関する費用が必要

  社会保険料の負担が増す

  法人税の負担が増す

  事務的な負担が増える

  交際費が全額必要経費とはみなされない

                 など


Q 会社の名前は自由に決めてもかまわないのですか

A 同一の住所地でなければ自由に商号をつけることができます

  

会社法施行(2006年5月1日)以前は、同一の市町村の中で(札幌では同じ区の中で)、同一の会社名を使用することはできませんでしたが、会社法施行後、その規制は撤廃になりました。

ただし、他の企業の営業活動を侵害する目的で同一地区で同じ会社名を使用することは、法律の規制を受ける場合があります。

また、「商号」=会社名とは別に、特許庁に登録されている「商標」にも一応の留意が必要と思われます。インターネットの急速な普及によって、「商標」をめぐってのトラブルも予想されますのでご注意ください。


Q 株式会社設立のための費用について教えてください

A 資本金以外に、下記の費用が必要です

 

(例 資本金500万円の株式会社、発起設立の場合)

公証役場の定款認証費用が約5万円、登録免許税15万円、そのほか法人用の代表印を準備する費用などが必要です。なお、定款認証の際、通常は印紙代4万円が必要ですが、当事務所では電子定款に対応しているため印紙代4万円は不要です。


Q 資本金を現金以外のもので出資するにはどうしたらよいのですか

A 設立時に「財産引継書」など、別途の書類提出が必要です

 

「現物出資」という方法があります。会社法施行前は、現物出資には検査役の調査が必要など、厳格な規制がありました。会社法では要件を緩和し、500万円以下の財産については検査役の調査を不要としています。出資者が所有しているパソコンや車などを資本金として出資することも可能です。


Q 定款にはどのようなことを記載したらよいですか

A 5つの「絶対的記載事項」があります


 定款に必ず記載しなければならない事項は次の5つです。

  1 目的

  2 商号

  3 本店の所在地

  4 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額

  5 発起人の氏名又は名称及び住所

 要件としては、この5つが記載されていれば良いということになりますが、定款は「会社の憲法」と言われるほど重要な書類です。実際には様々な条文を記載します。

会社の規模や事業内容によって、記載内容が異なりますので、当事務所にご相談ください。


Q 友人から、会社の監査役就任を依頼されました。監査役と取締役はどのような違いがあるのですか

A 一般的に、監査役は「業務監査権限」と「会計監査権限」を有します。取締役との連帯責任があり、責任の重さは取締役と同等であると言えます。


  取締役も監査役も、会社や第三者に対して連帯して損害賠償責任を負います。その意味で、両者の責任は同等であると言えます。ただし、損害賠償責任の一部免除制度を定款に定めることができ、取締役よりも監査役のほうがその免除額を広く規定することは可能です。

  取締役に比べ、監査役は会社の「お目付け役」的なイメージが強く、また、「名前だけで実務をしていない」監査役が多く存在することも事実です。しかし実際は、取締役と同等の責任を負うことになりますので注意が必要です。

  会社法では、監査役を設置しない機関設定も可能ですから、設立に関しては、会社の機関をよく検討されることをお勧めします。


Q 取締役、監査役の任期は何年が良いのでしょうか

A 定款に記載することにより、取締役、監査役ともに最大10年まで伸長することが可能です。(株式譲渡制限会社)


  定款に何も記載がない場合、取締役の任期は原則2年、監査役は同4年です。したがって、その場合は2年ごとに(役員の変更がない場合でも)役員変更の手続が必要です。これは株主総会の決議事項となります。

  しかし、株式譲渡制限会社については株主が変動することも少ないため、株主に対して取締役の任期を頻繁に問う必要性が少ないため、最長10年まで、と定めることが可能です。

  会社の実態に応じて取締役、監査役の任期を決定されるとよいでしょう。


Q 事業を新しく始めるにあたり、知人から、「休眠会社を買取らないか」という申し出をもらいました。どのような手続が必要でしょうか

A 休眠会社の買取りについては、過去の債権など十分に注意をなさったうえで、変更手続をなさると良いでしょう。


  休眠会社を買取る場合、まず注意しなければならないのは、休眠する前の事業と債務です。債権、債務の有無と金額、内容を十分に調査なさってください。変更手続は、目的や本店所在地、役員の変更など多数あります。変更手続をするに当たり、休眠している会社の取締役全員から、同意書をもらうことも必要です。調査や準備を怠ると、後々トラブルになるおそれがあります。

 最低資本金制度が撤廃された現在、あえて休眠会社を買取るメリットは少なくなったと言えます。

せっかく新たに開始する事業なのですから、可能であれば新規で法人を設立されることをお勧めします


Q 法人の設立の際、資本金はどこに振り込めばよいのでしょうか

A 設立時の資本金は、設立時代表取締役の個人の銀行口座に振り込み、その謄本(コピー)を設立時の書類に添付することになります。(発起設立) 


  金融機関に払込金保管証明書を発行してもらい、書類に添付する方法もありますが、若干の費用と時間がかかります。

  発起設立の場合は、発起人が、お金を代表者の銀行通帳に振り込み、その銀行通帳のコピーを書類に添付することで資本金の証明が可能です。その際、振込人(団体)の氏名、金額が通帳に記載されていることが必要です。



Q 合同会社とはどのようなものですか

A 合同会社(LLC)は「持分会社」というカテゴリーに属する法人形態で、合名・合資会社のデメリットを少なくしています。


これまでにも、合名会社・合資会社という法人があり、2006年の会社法施行以後もそのまま存続しています。合名・合資会社は家族的、組合的な規律があり、無限責任社員が存在するなど、どちらかといえば家族で商売を営むような法人形態と言えます。

 一方、合同会社(LLC)は、合名・合資会社と同じカテゴリー法人になりますが、「有限責任社員」のみで構成され、また社員も1人から可能です。

会社の構成員が全員有限責任であるという点は、大きなメリットです。運営内容も、定款である程度自由に設定することができます。

合名・合資会社と同様に定款の認証も必要がないので、設立費用も小額で済むというメリットもあります。

ただし、債権者保護のため、合同会社の出資は金銭に限定しています。利益の半分も利益以上に配当することはできない、など一定の歯止めが掛けられています。

 

Q 公益性の高い事業を運営する場合、NPO法人にすべきなのでしょうか

A NPO法人は非営利活動が原則なので、他の法人とは性質を異にします。収益を目的としているかどうかで判断すべきでしょう。


NPO法人は「特定非営利活動法人」が正式な名称です。非営利が原則なので、収益事情についてはある程度の規制を受けます。ただし、ボランティアでは組織運営は難しいというのが現実ですから、NPO法人といえども運営のための利益を追求するのは当然のことです。

NPO法人は、現在17の活動分野にわかれています。設立にあたっては、まず、事業内容が17の分野に含まれるものかどうかを判断する必要があります。公共性の高い認証事業ということで、設立に関しても、登録免許税が不要で、設立に関する実費が少なく、税制優遇もあります。

ただし、事業に賛同する10人以上の発起人が必要です。また、定款をはじめ、事業計画書・収支予算書など、準備書面も多く、縦覧期間を含めると、準備から設立まで半年近くかかる場合があります。

当事務所では、もちろんNPO法人の設立相談、サポートも承っています。どうぞお気軽にお問い合わせください。



<遺言と相続についての QA>

(遺言について)

Q 遺言の種類にはどんなものがありますか? 

A 遺言には次の4つの形式があります

自筆証書遺言

公正証書遺言

秘密証書遺言

特別方式

法律的に遺言として認められるためにはそれぞれに決まり事があります。

決まり事を満たしていない遺言書や、生前相続人と交わしていた口約束

などは法律の保護は受けられません。

また、遺言は必ず自分ひとりの遺言を作成します。夫婦共同の遺言などと

いったような形式も認められていません。

1.     自筆証書遺言

 文字通り、自筆で書き残す遺言です。

 用紙、筆記具などは自由ですが、下記について守らなければなりません。

 a 全て自筆であること。

  パソコンやワープロで打ったり、テープに録音したものは認められません。

 b 日付をいれること

  日付を明記していないと法律的には無効になります。

  遺言を書き残した日付を必ず記載します。西暦でも元号でもかまいません。

 c 自書で署名し、押印をすること。

  必ず自筆で署名し、押印をします。

  押印の印鑑はミトメ印でも良いとされますが、大切な書類ですから

  実印を使用された方が良いでしょう。

2.公正証書遺言

 二人以上の証人の立会いのもと、公正証書により作成する遺言をいいます。

原則として公証人役場に出向き、公証人に書いてもらう方式です。

具体的には、次のような手順になります。

遺言者が遺言したい内容を公証人に口頭で伝え、その内容を公証人が筆記します。筆記した内容を公証人が遺言者に読み聞かせ、閲覧させます

遺言者と同席した証人が、内容に間違いないと認めると、遺言者、および証人がそれぞれに署名し実印を押印します。さらに公証人が、遺言書が正しい手順に従って作成された旨を付記して署名、押印します。

 公正証書遺言は、公証人役場にも保管されるため、万一、遺言者本人が遺言書を紛失した場合であっても同じものが公証人役場に保管されているので安心です。また、第三者から改ざんされたり遺棄される心配もありません。遺言者と証人が公証人役場に出向くことが原則ですが、身体に障害がある方や、病気療養中で公証人役場に出向くことができない場合は、公証人と証人を自宅や病院に呼んで公正証書遺言を作成することも可能です。

3.     秘密証書遺言

 自筆証書遺言と、公正証書遺言の中間的な遺言形式です。

具体的には次の手順となります。

 

 遺言者が記載し、署名・押印した遺言書を、自分で封印し押印します。

封印された封書を、公証人と二人以上の証人の前に提出します。

公証人は、遺言者の氏名、住所などを封書に記載します。さらに公証人、遺言者、証人全員が署名・押印することによって成立します。

 公正証書遺言と違って、遺言の内容を、公証人や証人に見られることがありません。遺言書そのものは自筆でなくてもよく、タイプやワープロでもかまいません。

遺言の内容の秘密は保たれますが、遺言者自身が保管しますので、紛失する可能性はあります。また、遺言内容の書き方に不備があれば無効になる場合もあります。(但し、法定方式に欠ける場合であっても、自筆証書遺言として効力が残ることもあります)

4.     特別方式の遺言

 特殊な状況にあって、普通方式の遺言をすることが困難、または不可能であるような場合は、次のような特別な様式による遺言が認められています。

特別な方式ですので、遺言をしようとする人が、その特殊な状況ではくなり、普通方式による遺言をすることができるようになった時から6ヶ月間生存すると、その遺言の効力は失われることになります。

 

A 死亡危篤者遺言

 病気などの事由により死亡の危急に迫った人が、3人以上の証人の立会いのもとその中の人に口述筆記をしてもらう方式です。口述筆記した遺言書を、遺言者や他の証人に読み聞かせ、証人が署名し押印しますただし、遺言の日から20日以内に家庭裁判所で確認を受けないと無効になります。


Q 遺言にはどのようなことを記載することができるでしょうか

A 法律によって効力が認められる事項は、大きく分けて次の4つです


a 相続に関すること

  相続分の指定、および指定を第三者に委託すること

  相続人の廃除、廃除を取り消すこと

  遺産の分割方法の指定、および指定を第三者に委託すること

  遺産分割を一定期間禁止すること

など

b 財産処分に関すること

・遺贈(遺言による財産の無償譲与)について

・信託の設定(目的に従って財産の管理処分するため、受託者に財産を移転すること)    

など

c 身分に関すること

  子供の認知

  未成年後見人などを指定すること

など

d 遺言の執行に関すること

  遺言執行者の指定、および遺言執行者の指定を第三者に委託すること

など


Q 「遺言執行者」とはどのような役割なのですか

A 遺言執行者とは、遺言の執行のために指定または選任された人のことをいい、次のような事務を行います


遺言執行者は、被相続人(遺言者)の死後、遺言の内容を実現するために必要な一切の事務を行います。大切な役割を担う方ですので、信頼できる知人、あるいは事務手続きの専門家である行政書士、司法書士などを指定すると良いでしょう。遺言執行者は、遺言者が遺言書に指定します。または、遺言によって、その指定を第三者に委託することができます。尚、遺言執行者が遺言に指定されていない場合は、利害関係者が裁判所に請求することにより、選任することになります。


Q 先日父が病気で他界し、遺品の中に遺言がありました。どうしたらよいでしょう

A すぐに開封しないで家庭裁判所の検認を受けてください


あなたのご身内の方が他界され、遺言が発見された場合の対応には注意が必要です。

遺言者(被相続人)が亡くなり、遺言書が発見された場合、見つけた人や遺言を預かっていた人は勝手に開封してはいけません。家庭裁判所に「検認」の請求をして下さい。これは、遺言の存在を明らかにし、偽造や破棄などを防ぐためです。この手続ののち、相続人の立会いのもとに遺言書を開封します。尚、「公正証書遺言」の場合は、家庭裁判所への検認作業は必要ありません。



Q 遺留分とはどのようなものでしょうか 

A 「遺留分」とは、相続において一定の相続人のために相続財産の一部を補償する制度のことを言います


 例えば、遺言書が発見され、相続人が複数いるにもかかわらずその中の一人『○○に全ての財産を相続させる』という記載があったとします。

この場合であっても、他の権利者は、法定相続額の2分の1を「遺留分」として請求する権利があります。これを「遺留分減殺請求権」と言います。


Q 遺言の書く際にどのようなことに注意したらよいですか

A 自筆証書遺言の場合、文末にご注意ください


前項の自筆証書遺言についての説明の通り、日付と署名、押印さえ忘れなければ、原則として遺言は有効です。但し、気をつけなければならないのは、「文末の言葉」です。

例えば、『妻○○に△△△を相続させる』あるいは『相続する』と記載するのが一般的です。これを『遺贈する』という記載した場合、実務上の手続が煩雑化したり、登録免許税に違いがでる場合があります。この点、注意が必要です。

同様の理由で、『与える』『贈る』などの言葉も使用しないほうが賢明でしょう。



Q 先日、父が重い病いで入院しました。近い将来相続が発生しそうなのですが、私は以前から兄に対し「財産はいらない」と言っていました。しかし事情が変わったので、やはり、親が残した財産を受け取りたいと思います。兄への相続放棄の取消しはできるでしょうか?

A もちろん、あなたは相続を受ける権利があります


そもそもあなたは「相続放棄」などされていないのです。相続放棄について誤解されている方が多いようですね。
まず、相続放棄の意思表示は、相続が発生した時(あるいは相続の発生を知った時)の後でなければなりません。相続が発生する前の意思表示は効力を有しません。

さらに、相続放棄は家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出する方法によって行います。戸籍謄本の添付など、書類も必要ですし、申立て期間も限られています。申立てが受理された後も、本人の意思確認のため、裁判所に出頭を求められたり、書面による照会を行ったりします。そのような厳格な手続きによってはじめて相続放棄が認められますので、あなたは堂々と権利を主張されるとよいでしょう。
いずれにしても、財産の移転や処分には、相続人全員の遺産分割協議が必要になりますから、その時にお兄さんとよく話し合ってみてはいかがですか。




死亡生命保険金は遺産となるのでしょうか?

A  生命保険金は受取人の固有の財産です


生命保険金が、相続の対象となるのかどうか、問い合わせをいだたくことが、よくあります。過去の判例などによれば、生命保険金の請求権は、被保険者の死亡によりはじめて受取人が取得する「遺産」ではなく、既に保険契約と同時に発生している受取人の『固有の財産』だと解されています。
従って、例えば亡くなったご主人が奥さんを受取人として指定しているのであれば、奥さんの「固有の財産」ということになります。他の相続人が相続権を主張することはできません。奥さんは、ご主人の遺産を相続分にしたがって取得できるとともに、ご主人の生命保険金も受け取ることができます。
一方、保険金の受取人が『法定相続人』と指定してある場合は、相続人が固有の権利として保険金請求権を取得し、複数いる場合は、その人数で割った金額を取得することになります。あくまで「固有の財産」ですので、遺留分減殺請求の対象となる遺贈や贈与にもあたらないとされています。
ただし、税法上は、支払われた生命保険金のうち、被相続人が負担した保険料の割合部分を相続または遺贈によって所得したものとみなして、課税の対象となります。控除額も相続税と異なりますのでご注意ください。